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純文学、ミステリ、SF、マンガ、オカルト等々、ジャンルを問わぬ乱読の末の読書日記です
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今回のお題 ユービック

フィリップ・K・ディックです。

はい、アタマ狂ってます。

なにしろ奇才ですからね、彼。

でも、意外と知られてなかったりするんですよね、彼の名前。

フィリップ・K・ディック。

でも、ブレードランナーは知ってるでしょう。

これ、原作は「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」ですね。

あと、トータル リコールの原作は「追憶売ります」ですね。

最初に「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」というタイトルを聞いたときに、

あっちゃー……

と思ったんですけれど。

だって、イッちゃってますものね、タイトル。

いや、中身もすごいんだけれどね。

ですから、世界観の構築とかね、なんかそういうことをカッコよさげにのたまっているお方は、まずユービックを読みましょう。

これ読むとね、自分が異界に引きずり込まれるのが分かるね。

それは真理の扉を見たエルリック兄弟の比じゃないよ、きっと(←鋼の錬金術師(1)を参照のこと)

人体錬成も確かにすごいけど、

世界を錬成しちゃってる

のも、けっこうスゴい。

出てくるモノ自体はSFにありがちなものだと思うんだけれど、

なんていうかな、その取り合わせ方がすごいんだな。

タイムマシンなら分かる。

それで時空を行ったり来たりするという思考回路なら分かる。

でも、人間が(半生状態ではあるけれど)時空を行ったり来たりさせちゃうというのはスゴい。

「その人」が行ったり来たりするんじゃないよ。

「その人」周りを過去にさかのぼらせちゃうわけだよ。

しかもそれが現実なのかどうなのかも至極曖昧なのだ。

だんだん時代が古くなって、最終的に1939年までさかのぼってしまうのだけれど、周りに出てくる建造物とか人物像とか、車とか、そういうのは全部1939年になっている。

これだけなら、過去にタイムスリップしたといえばいい訳だけれど、そこに「ユービック」というスプレー缶が出てくるのが異常なんだ。

ものすごく異常な感覚が体をよぎるので、ぜひお試しいただきたい。

1939年に瓶詰めのクスリが登場するのは変じゃないし、軟膏が登場するのも変じゃない。

なのに、なぜ、スプレー缶が登場すると奇妙なんだろう?

スプレー缶が唯一「現在」との接点だからだ。

ユービックと書かれたスプレー缶がね。

そもそも時間が退行現象を起こすという発想自体がSFなんだけれど、その退行現象も局地的にしかおこっていないらしい……(本当がどうかは分からん。確かめようもないらしいから)

しかも、それには「半生人間」が関与してるわけね。

対極的な「半生人間」と「半生人間」。

道徳的によくない子宮に宿るという前触れの赤い靄のかかった予知夢。

1ヶ月に2時間だけ外部との交信を持つことのできる半生人間。

その分、長生きはできる。

でも、やはり半生人間にも「死」はやってくる。

そのあたりが、「現実的」なところなのかなあ……

つまり、それっていうのは、ぶどうを食べながらフィリッップ・K・ディックの本をめくっているときにできちゃった、ぶどうのシミみたいなものなんだな、きっと。
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