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純文学、ミステリ、SF、マンガ、オカルト等々、ジャンルを問わぬ乱読の末の読書日記です
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今回のお題 蠅の王



なんというか、この本、表紙が池田満寿夫氏というところもハマりにハマっているわけだが、ノーベル賞作家の本である。

著者はウィリアム・ゴールディング。

まあ、教養としてご存知の方も多かろう本である。

今から数年前、拙は漂流物に凝っていて、ロビンソン漂流記だの、十五少年漂流記だのを読みあさっておった。

そのときに一緒に買い集めた中の1冊である。

それが今までほったらかしになっていたわけだ。

蠅の王というのは原文だと Lord of the flies ということなので、蠅の主ということなのだろう。

でもって、この解説では悪魔のベルゼブブを蠅の王としてとらえている。

確かにベルゼブブは蠅の容姿を持った醜悪な悪魔だ。

そして、確か汚れた物を好むんじゃなかったかな?

疎開途中に事故で孤島に漂流した十何人か(多分)の子供たち。

彼らはイギリス人だ。

そのあたり、最初の方ではやはり「イギリス紳士的」な振る舞いをしている。

イギリス人であるという矜持が子供たちから感じられる。

それがだんだん希薄になっていく。

つまり、イギリス人の対極に位置するのが「蛮人」ということなのだろう。

そうなるまいとする少年たちの何人かを「蛮人」におとしめる役目をしたのが一匹の豚だ。

別に、豚は何もしていないのだろう。

ただ、捕らえられ、少年たちに食されてしまっただけだ。

だけどね、拙は思うんだよね。

もし、あのときに豚を捕まえなかったら、豚を食べなかったら、悲惨な結果にはならなかったんじゃないかって。

その島にはたくさんの樹木があって、底には果実が実っている。

それで空腹を満たすこともできたわけだ。

そこに現れた一匹の豚。

その獣に子供たちの一部は狂乱する。

この島から助かることが第一だと考える少年たちと、豚を捕まえることが第一だと考える少年の分離。

そして、どこに属すこともできず、そもそも人数にも数えられていない子供たち。

彼らは「大きい子供」と「小さい子供」という分類をした。

そして、彼らは「小さい子供」=「力仕事ができない」=「役に立たない人間」というレッテルを貼ったような気がする。

でも、「蠅の王」を少年たちの中に目覚めさせたのは、何を隠そうその役にも立たない小さな子供なのだ。

彼らは何も持っていない。

ホラ貝を海から拾い上げ、それをリーダーの象徴として扱い、またあるときには発言者の象徴として扱う。

メガネは火をつけるための道具として、奪い合いの戦闘対象になる。

ホラ貝はやがて壊れる。

共同体も壊れる。

女王様の部屋には大きな地図が貼ってあって、そこに書かれていない島なんてないんだ。だから、きっとこの島だって探し当ててくれるさ。

そんな言葉を紡ぎだした「理性的なイギリス人」はもうそこにはいない。

豚を殺し、人を殺すことにも呵責を覚えない人間に成り下がる。

そんな人間に成り下がらせたのが「豚」だったというのは、一種の象徴なのかもしれない。

新約聖書には悪霊を豚に入り込ませるイエスの姿が出て来る。

少年たちにとっての悪霊は蠅の王だった。

その蠅の王はどうしても「豚」から出た気がしてならないのだ。

肉を食べることの善し悪しを言っているのではない。

豚が汚れた食べ物だと言っているのでもない。

ただ、教育も受け、教会にも通い、字も読め、数も数えられ、火をおこす方法や小屋を建てることまでできた「理性的なイギリス人の少年」が崩れていく様は、人間が崩れていく様を表している。

子供だから「蛮人」になったのではない。

大人だろうが「蛮人」にはなるのだ。

大人は本質を隠したがり、否定したがる。

しかし、蠅の王により近いのは大人と子供とどちらか?

拙は遥かに大人の方が蠅の王に近いと思う。

つまり、蠅の王から少しは遠い子供ですら、蠅の王には逆らえなかったのだ。

蠅の王に立ち向かえなかった。

立ち向かった人間は……消去しなければならなかった。

それが「蛮人」のプライドだ。

近代は文明と野蛮を決別させようとした。

文明を野蛮から切り離そうとした。

そして文明という概念と野蛮という概念ができあがった。

しかし、文明は「蛮」を切り離してなんかいない。

むしろ、「文明」が光に当たってできた陰は「野蛮」という名前を冠しているに過ぎない。
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年齢不明、性別不明、正体不明、意味不明のネコもといサル?
しかしギネスとバスペールエールをこよなく愛していることにウソ偽りはないが、コレステロール値を下げるため禁酒中。
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